*************** neutet.exe (Ver.20091028) の使い方 ***************  neutet.exeは、荘島(2008a)の「ニューラルテスト理論」を用いて、各項目の項目参照プロファイルを計算するツールです。以下、その使い方を説明します。 0 デモンストレーション 1 データファイル 2 プログラムの使い方 2.1 アイコンをダブルクリックする場合(インタラクティブモード) 2.2 アイコンをダブルクリックする場合(プログラムモード) 2.3 コマンドプロンプトから実行する場合 3 設定ファイル 3.1 ファイル名関係 3.2 データファイルの内容 3.3 計算のパラメタ 4 引用文献 5 変更履歴 6 ライセンス 0 デモンストレーション  同梱のサンプルデータを用いて分析を行ってみましょう。 (1) neutet.exe をダブルクリックしてください。 (2) コマンドプロンプトが現れ、「Is there a setting file? [y/n]」と尋ねられたら、「n」と入力してください。 (3) データファイル名を尋ねられますので「data.dat」と入力してください。 (4) データの開始位置を尋ねられますので「4」と入力してください。 (5) 項目数を尋ねられますので「20」と入力してください。 (6) 潜在ランク数を尋ねられますので「5」と入力してください。 (7) 出力ファイル名を尋ねられますので「result.csv」と入力してください。 (8) 何かキーを押すように指示されたら、任意のキーとリターンキーを押してください。 (9) result.csv に各項目の項目参照プロファイルが出力されます。 1 データファイル  正答を1、誤答を0、欠損を.で表し、それらを隙間なく並べます。  1行は1人の受験者に対応します。1列は1つの項目に対応します。  たとえば、5人の受験者が3項目の試験に解答したときのデータの例は次のようになります。 100 101 110 111 111 2 プログラムの使い方 2.1 アイコンをダブルクリックする場合(インタラクティブモード)  neutet.exe をダブルクリックしてください。「Is there a setting file? [y/n]」と尋ねられますが、「n」と入力するとインタラクティブモードになります。ここでは、次の5つについて尋ねられます。 ・データファイル名 ・正誤反応の開始位置 ・項目数 ・潜在ランク数 ・項目参照プロファイルの出力ファイル名  より詳しい情報(たとえば、ランク・メンバーシップ・プロファイルなど)が必要な場合は、設定ファイルを用意し、プログラムモードで実行してください。 2.2 アイコンをダブルクリックする場合(プログラムモード)  neutet.exe をダブルクリックしてください。「Is there a setting file? [y/n]」と尋ねられますが、「y」と入力し、設定ファイル名を入力すると、プログラムモードになります。  設定ファイル名を絶対パスで指定するとき、空白を含んでもダブルクォーテーションはつけないでください。 2.3 コマンドプロンプトから実行する場合  コマンドプロンプトを起動し「neutet.exe 設定ファイル」を実行することも可能です。  たとえば、設定ファイルが exercise.txt の場合には、次のコマンドを実行してください。 neutet.exe exercise.txt  設定ファイル名を絶対パスで指定するとき、空白を含む場合は、ダブルクォーテーションで囲んでください(注:neutet.exe をダブルクリックする場合とは異なります。)。  たとえば設定ファイルが C:\Documents and Settings\hashimot\My Documents\exercise.txt の場合には、次のコマンドを実行してください。 neutet.exe "C:\Documents and Settings\hashimot\My Documents\exercise.txt" 3 設定ファイル  基本的に、neutet.exeの動作の詳細を「変数 = 値」で設定します。  たとえば、データファイルの名前が data.dat のときには、次のように書きます。 infile = data.dat  変数名は全て小文字にします。  空白およびタブは無視されます。  #, %, * より後はコメントとして無視されます。  以下、変数の意味を説明します。 3.1 ファイル名関係  相対パスによる指定は、neutet.exe からの相対パスと見なされます。  ファイル名に空白を含む場合には、ダブルクォーテーションで囲みます。 例 infile = "C:\Documents and Settings\hashimot\My Documents\data.dat" ・infile(必須) データファイル名を指定します。 ・outfile 項目参照プロファイルを出力するファイル名を指定します。 指定が無い場合、項目参照プロファイルは出力されません。 各項目のプロファイルは各行に出力されます。1行目は潜在ランクのラベルです。1列目は項目番号です。 ・rankfile 受験者の潜在ランクを出力するファイル名を指定します。 指定が無い場合、潜在ランクは出力されません。 各受験者の潜在ランクは各行に出力されます。受験者IDを指定した場合、1行目はラベルになり、1列目にIDが出力され、2列目に潜在ランクが出力されます。 ・rmpfile 受験者のランク・メンバーシップ・プロファイルを出力するファイル名を指定します。 指定が無い場合、ランク・メンバーシップ・プロファイルは出力されません。 各受験者のプロファイルは各行に出力されます。受験者IDを指定した場合、1行目は潜在ランクのラベルになり、1列目にIDが出力されます。 ・worpfile 重み付き観測率プロファイルを出力するファイル名を指定します。 指定が無い場合、重み付き観測率プロファイルは出力されません。 各項目のプロファイルは各行に出力されます。1行目は潜在ランクのラベルです。1列目は項目番号です。 ・uorpfile 非重み付き観測率プロファイルを出力するファイル名を指定します。 指定が無い場合、非重み付き観測率プロファイルは出力されません。 各項目のプロファイルは各行に出力されます。1行目は潜在ランクのラベルです。1列目は項目番号です。 ・fixedfile 項目参照プロファイルの固定する値が書かれたファイル名を指定します。 指定が無い場合、そのようなファイルは読み込みません。 各項目のプロファイルは各行に書かれている必要があります。1行目は潜在ランクのラベルである必要があります。1列目は項目番号である必要があります。 ある行のある列の値を固定したくない場合には、そのセルにアスタリスク(*)を記入します。項目番号を指定しなければ、その項目については項目参照プロファイルの値が固定されません。 ・dlm(値: comma / tab / space) outfileおよびrankfiileで指定したファイルの区切り文字を指定します。 スペース区切りを指定しても、縦位置が揃うわけではありません。 指定が無い場合、dlm = comma(カンマ区切り)になります。 3.2 データファイルの内容 ・idbegin データファイルには受験者IDを書くこともできます。 受験者IDが何列目から始まるか(先頭を1とする)を指定します。 指定がない場合、IDの列は無いものとして扱われます。 ・idlength 受験者IDの長さを指定します。 指定がない場合、スペースまたはタブまでを読み込みます。 idbeginの指定なしにidlengthが指定された場合、idbegin = 1になります。 ・databegin データが何列目から始まるか(先頭を1とする)を指定します。 指定がない場合、受験者IDの次の列(空白を除く)からデータを読み込みます。 ・nitems 項目数を指定します。 指定がない場合、行末までデータを読み込みます。その場合、全ての行で項目数が同じでないときの動作の保障はありません。 itemuseを指定した場合、推定に使わない項目も項目数に含める必要があります。たとえば、10項目だけを推定に用い、5項目を飛ばす場合には、nitemsの値を15にします。 ・itemuse 項目を推定に使うか否かを、1または0で指定します。 指定がない場合、すべての項目が推定に用いられます。 推定に使う項目は1で、使わない項目は0でそれぞれ表します。たとえば、20項目のうち、先頭の5項目と最後の10項目のみを使う場合、次のように指定します。 itemuse = 11111000001111111111 0とされた項目では、すべての反応が欠損値として扱われます。したがって、もし項目参照プロファイルの値を(推定するのではなく)固定する場合でも、値は1にします。 ・firstobs 最初の受験者のデータを指定します。 指定がない場合、1行目からデータを読み込みます。 ・nobs 受験者数を指定します。 指定がない場合、ファイルの最後までのデータが用いられます。 3.3 計算のパラメタ ・nranks 潜在ランク数を指定します。 指定がない場合、10になります。 ・method(値: ls / ml / gtm) 勝者ノードの決定方法を指定します。 lsはユークリッド距離の2乗を利用し、mlは最尤法を用います。 gtmを指定すると、Shojima(2008b)に従い、生成トポグラフィックマッピングのメカニズムを利用します。 この指定はランク・メンバーシップ・プロファイルに影響します。 指定がない場合、mlになります。 ・iter 反復計算の回数を指定します。 指定がない場合、100になります。 ・increase(値: true / false) 項目参照プロファイルの単調増加制約をつけるかどうかを指定します。 true なら制約あり、false なら制約なしです。 true の場合、反復中に各項目においてIRPの値を昇順にソートします。 指定がない場合、increase = false になります。 ・seed データの各行を無作為に並べ直す、乱数の種を指定します。 指定がない場合、現在時刻から生成します。 ・alpha1, alphat, sigma1, sigmat 荘島(2008a)の $\alpha_1$、$\alpha_T$、$\sigma_1$、$\sigma_T$ を指定します。 分数では指定することができません。 例 ○ alpha1 = 0.333 × alpha1 = 1/3 値の範囲や分数のチェックは行いません。 指定がない場合、次の値になります。 alpha1 = 1.0 alphat = 0.1 sigma1 = 1.0 sigmat = 0.12 ・phi 生成トポグラフィックマッピングのメカニズムを利用する際の、荘島(2008b)の $\phi$ を指定します。 phi = 1 と指定すると、平滑化は行いません。 指定がない場合は、荘島(2008b)の式(21)に従います。潜在ランク数が20より大きい場合には phi = 1/3 になります。 4 引用文献 ・Shojima, K. (2008a). Neural test theory: a latent rank theory for analyzing test data. 大学入試センター研究開発部リサーチノート, RN-08-01. ・Shojima, K. (2008b). The batch-type neural test model: a latent rank model with the mechanism of generative topographic maping. 大学入試センター研究開発部リサーチノート, RN-08-06. 5 変更履歴 ・2007/09/10 バージョン20070910公開開始。 ・2007/09/11 潜在ランクを出力可能に。 収束基準を設けて反復を終了させることを可能に。 ・2007/10/02 alpha1の初期値を 1/Q から 0.1 に変更。 ・2007/10/04 ランク・メンバーシップ・プロファイルの出力を可能に。 勝者ノード決定方法で最尤法を選択可能に。 ・2007/10/15 重み付き観測率プロファイルと非重み付き観測率プロファイルを出力可能に。 ・2007/11/21 特定項目の特定ランクにおける項目参照プロファイルの値を固定可能に。 ・2007/12/17 maxiterの初期値を 100 から 500 に変更 sigma0の初期値を 1.0 から 1.2 に変更 ・2008/08/22 学習のパラメタをShojima (2008)に合わせる。 maxiterをiterに変更し、初期値を 500 から 100 に変更(maxiterのままでも利用可能)。 itemuseにより飛び飛びの位置にある項目でも利用可能に。 firstobs, nobsにより、ファイルの中の一部分のオブザベーションだけでも利用可能に。 インタラクティブモードを追加 ・2008/09/10 データの文字チェック(「0」「1」「.」以外なら警告を出力)を追加 ・2009/10/28 荘島(2008b)の生成トポグラフィックマッピングによる方法を追加 そのためのオプション phi を追加 6 ライセンス Copyright (c) 2007--2009 HASHIMOTO Takamitsu and SHOJIMA Kojiro. 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